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    かこ・げんざい・れきし

    • 2018.09.09 Sunday
    • 23:49

     

     

    風が涼やかになってきて少しほっとしている三ヶ島ルルです。

     

    今日のテーマは「好きな本」

     

    中学生くらいの頃に読書の快楽を知ってから、乱読というかかなり節操のない漁書体験をしてきているので、このテーマ、なにを書くべきかとっっっても迷いました。

     

     が、いつまで迷っていてもブラウザは白いまま。ということでこの頃お仕事の関係で幕末・明治あたりの書籍を読む機会が多いので最近読んで印象に残った本たちについて書いてみようと思います。

     

    タイミングがいいのか悪いのか、今年は明治維新150年という節目のアニバーサリーイヤー。関連書籍に講演会、展示など続々とありましてひぃこら言いながらフォローしています。

     

    というのも世界史専攻だったのもあり、どちらかといえば歴史関連の書籍を読む場合は外国のものが多かったので、いまいち日本史の見取り図みたいなものがなかったのです。

     

    江戸時代の基礎知識はほぼ漫画 「風雲児たち」(みなもと太郎)で仕入れたのみのような体たらく。

     

    歴史をさらうときは、癖で通史的な見通しが立てられそうなものを三冊程度選出するんですが、それすらどの書籍を選んでいいのかわからず。

     

    そんなかで先に触れた明治維新150周年記念で続々刊行された中の一冊『明治史講義 テーマ編』小林和幸編(ちくま新書)などは、明治維新という出来事を巡ってそれぞれの時代がどのような必要からどのようにそれを位置付けたのか・・・解釈の変遷を丁寧に追っていてくれて非常に助かりました。参考文献がたくさんあるのも、そこから芋づる式に飛んでいけてとてもありがたかったです。

     

    また警察史を調べる必要があったので参照した『 日本近代国家の成立と警察』大日方純夫(校倉書房)(これ絶版になってしまってるのもったいないので是非復刊してほしい)や維新後の関連文献を収録した日本近代思想体系シリーズの『官僚制 警察』由井正臣、大日方純夫(岩波書店)などはとても役立ちました。後者は・・・読むのが大変でしたがこうして当時の文献を活字でまとまって読めるのはとても楽しいです。

     

    幕末から明治期の国家組織の頻繁すぎる改変を追っていくと、その時々の考え方や旧体制からの移行への調整、様々な目論見などが透けて見えるようで面白いです。が、いかんせんかわりに変わるので非常に混乱します!!

     

    『近代日本の官僚』清水唯一郎 『明治の技術官僚』柏原宏紀(ともに中公新書)『近代日本の構造』(坂野潤治)

     

    このあたりは読み物としても面白く新書で軽く読めるのもありとても重宝しました。

     

    と、つらつら語ってしまってもしょうがないので特に個人的に「好き」と思えた軽めの2冊を紹介して〆たい遠思います。

     

     

     

     

    一冊目は

    『幻影の明治』渡辺京二(平凡社ライブラリー)

     

    『逝きし世の面影』で著名な作者の明治維新に関する歴史エッセイを集めた書籍で、司馬史観がお好きな方にはあまりお勧めできませんが、適度な毒と歴史への愛を感じられ素敵なエッセイ集でした。

    山田風太郎の明治ものの史実と虚構の入り混じり具合の解説など、すぐにでも文庫をより寄せて読みたくなるような魅力的な解説ですし、士族反乱への視座は思想的な主張の道具としての歴史ではなく当時の人間の情動や状況になるべく近づきたいという情熱があふれていてものすごく好感を感じました。なにより文章がすこしシニカルで英国のエッセイを読んでいるような趣があるので楽しいのです。

     

    二冊目は

    『新編 明治人物夜話』森銑三著 小出昌洋編(岩波文庫)

     

    森銑三という在野の研究者というような方の書いた、メジャーな人物からマイナーな人物まで明治の雑誌や新聞、書籍などからの引用をふんだんに使用した遺事・逸聞集。

    現在の歴史的業績や評価というよりも当時どうとらえられていたか、どのように報道されたかなど、同時代的な評価がたくさん読めてとても興味深い。良くも悪くも奇人変人エクストリームエピソード満載というか、豪傑豪快剛毅な生々しさが時代のエネルギッシュさを伝えているようで、すこし切なくなるような話も含めて時代の空気、変遷を妄想しやすくしてくれるような、そんな一冊でした。好きです。

     

     

    私の学習目的自体が、その時代に生きていた人たちの気持ち状況、空気感などを看取することにあるせいもあるのですが、やはり現代を解釈するための過去としての歴史、なにかを主張するための道具としての歴史、ではなくその当時を知りたいがための歴史というようなものに惹かれるんだなぁと。

     

    どうしたって解釈というものは、現在・解釈主体を離れられないからこそそこから可能な限り遠くに行く、そういうような無謀な試みを真剣に必死で軽やかに記述しているような書籍。そういう本にとてつもなく惹かれてしまいます。すこしでも明治維新や明治時代にご興味がおありでしたら、コーヒータイムのお供に、いかがでしょうか。

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