名前のない鳥

  • 2018.11.09 Friday
  • 01:46

 

小さな子どもは、なぜか本棚の本を片っぱしから出すのが大好きです。

やんちゃ盛りの息子も例に漏れずありとあらゆる本を棚から出してはバラまき、我が家は常に絵本やらおもちゃで散らかっています。

 

つい先日、床に散らばっていた中の一冊を拾って読みました。

映画化されたのでご存知の方も多いであろう「億男」という本です。

その中で、旅について書かれた印象的な一節を引用します。

 

「観光客は着いたときに帰ることを考え始めるが、旅人は帰らないこともある」

モロッコの旅において、一男は観光客だったが、九十九は旅人だった。一男にとっては無限に見えた月も、九十九にとっては最後に見る月だった。

九十九は帰らないことを決めていた。

あの旅で、九十九は一男に別れを告げることを決めていたのだ。

 

主人公の一男と親友の九十九は卒業旅行で一緒にモロッコへ行ったけれど、二人の心情はまったく違うものでした。

元の場所へ帰るつもりの旅。帰る予定のない旅。

同じ景色を見ても、きっと全然違う思いだったことでしょう、二人は。

 

さて、私も二十歳そこそこの頃、目的地もスケジュールも行き当たりばったりで帰るかどうかもはっきりしない旅に出たことがありました。

定職についておらず恋人もいなければ払わなくちゃいけない家賃もない、孤独で自由な立場だからこそできた旅です。

宮古島を起点に、沖縄の離島をあてもなくフラフラと見てまわりました。

その旅は最高のものになると信じて疑いませんでした。

 

ところが出発から3日目にして旅先で知り合った男の子にうっかり恋に落ちてしまい、そこからの私の旅は予想とまったく違うものに変化しました。

意気投合して数日過ごしたのもつかの間、彼は予定通り元いた場所へ帰ってしまいました。

端的に言えば、彼は観光客で、私は旅人だったのです。

 

あてもない旅を満喫するはずだった私は、結局どこにいても何を見ても彼のことばかりを考えてしまう、色の抜けたセピアの世界を眺める旅を続けることになってしまいました。

青い青い海の中で、波照間島の満天の星空の下で、島と島を行き来する小さな郵便船の上で。

身体は旅をしていても、心はずっと同じ場所にありました。

 

その後のことはここでは語りませんが、十数年が経った今でも心の中から彼が消えることはなく、あれほど夢中になった恋はほかになかったなとしみじみ思うのであります。

結婚してすっかり地に足ついた生活をしているけれど、彼を思い出すと今でも泣いてしまう。

ただの失恋といえばその通りだけど、でも、旅に出たおかげでかけがえのないお土産を手に入れたような、そんな気もしています。

 

恋だけでなく、旅の中でたくさんの人に出会い、世の中にはいろいろな人がいていろいろな生き方があると知ったのも非常にプラスな経験でした。

最近はとんと遠出をしておりませんが、いつか子育てがひと段落したら、あてもなく一人フラフラと何処かへ出かけたいなと夢見ています。

 

私の9ハウスカスプはさそり座なので遠くへ出かけるのはなかなか腰が重いのですが、9ハウスに在室するいて座の木星と天王星は今か今かと出番を待ち構えています。いつかまた遠くの場所で輝くときが来るのでしょうか。楽しみで仕方ないです。

 

 

写真は当時撮った海の写真です。やっぱり海が好き。

 

 

本日は坂ナズナがお届けしました。

次回の更新もお楽しみに。

 

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